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東京高等裁判所 昭和46年(行コ)8号 判決

千葉県安房郡鋸南町竜島八六〇番地

控訴人

有限会社中山商事

右代表者代表取締役

中山渉

右訴訟代理人弁護士

木戸喜代一

舘山市北條一一六四番地

被控訴人

舘山税務署長

間生治雄

右指定代理人

森脇勝

中山精二

庄子実

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

(申立)

控訴人 「原判決を取消す。被控訴人が控訴人に対し昭和四二年四月二八日なした昭和四〇年九月一日より昭和四一年八月三一日迄の事業年度分法人税額金一、四一一、七七〇円の更正決定および重加算税金四二三、三〇〇円の賦課決定処分はこれを取消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求める。

被控訴人 主文第一項同旨の判決を求める。

(主張および証拠)

当事者双方の主張および証拠関係は、左記のほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

控訴人

一、別紙のとおり主張する。

二、甲第二二号証の一、二を提出し、

当審での控訴会社代表者中山渉尋問の結果を援用する。

被控訴人

甲第二二号証の一、二の成立を認める。

理由

一  本件につき当裁判所のなす事実認定およびこれに伴う判断は、左記のほか、原判決理由記載のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決一二枚目―記録三八丁―表一一行目の「右山林」の次に(以下「本件土地」または「本件山林」ともいう)」を加え

2  同判決一二枚目―記録三八丁―裏一一行目の「原告代表者尋問の結果(第一回)の」を「原審(第一回)および当審での控訴会社代表者尋問の結果のそれぞれ」とあらため、

3  同判決一四枚目―記録四〇丁―表一一行目の「原告代表者尋問の結果(第一回)」を「原審(第一回)および当審での控訴会社代表者尋問の結果」とあらため、

4  同判決一四枚目―記録四〇丁―裏八行目の「一五六五万円」を「六五六万円」とあらため

5  同判決一五枚目記録四一丁―裏二行目の「各証言」の次に「および当審での控訴会社代表者尋問の結果(以下認定に抵触し措信しない部分を除く。)」を加え

6  同判決一六枚目―記録四二丁―裏一一行目末尾に続けて「右認定に反する原審証人中山きくの証言ならびに原審(各回)および当審での控訴会社代表者尋問の結果はたやすく採用し難く、他に同認定を動かすに足りる資料はない。」を加え、

7  同裏末行目の「(ロ)」の次に「前記乙第二号証の一ないし四」を加え、

8  同判決一七枚目―記録四三丁―表二行目の「証言」の次に「および弁論の全趣旨」を加え、

9  同表九行目の「勝山支店」の次に「―昭和四五年七月六日鋸南支店に店名変更―」を加え、

10  同表末行、同裏一行目の「九月一日」を「八月三一日」とあらため、

11  同裏五行目末尾に続けて「控訴人は本件山林の前記売却代金の入金関係および使途につき別紙のとおりるる述べその趣旨とするところは、右山林売却代金の入金関係が中山渉個人に関するものであり、使途も同人ないしその家族の個人用に費消され控訴会社の用に供されなかつたというにあるが、原審証人奥村与一、同中山きくの各証言、原審(各回)および当審での控訴会社代表者尋問の結果、前記甲第三号証、成立に争いがない甲第六号証、前記甲第八。九号証の各一ないし五、原審での控訴会社代表者の供述(第二回)によつて、成立が認められる甲第一八号証、同第一九号証の二ないし四、成立に争いがない甲第一九号証の一、五、同第二〇号証の一、二、同第二一号証等控訴人の提出援用する全立証によつても、本件山林売却代金の入金関係および使途が控訴人主張のような中山渉個人に関するものであつて該全員が控訴会社を介することなく直接に控訴人のいう個人用に費消されたものとは未だ確認し難く、他にこれを認めるべき証拠なく、むしろ、原審証人繁田亀吉、同高橋尚道、同中村陽一、同忍足礼次郎、同庄子実、各証言、前記乙第三ないし第五号証、同第二〇ないし第二二号証、同第三〇ないし第三二号証等と弁論の全趣旨とをあわせ考えると、本件山林売却代金は控訴会社代表者である中山渉が、その代表者たる地位を利用し、会計経理の杜撰紛淆に乗じて、控訴人のいう使途―それがすべて個人用のものかどうかのせんさくは措く―に右金員を便宣流用したに過ぎないものと認められる。(したがつて買主奥村興業株式会社より入金された本件山林売却代金は、実質的には控訴会社の管理支配のもとにおかれていたものであつて、本件山林の譲渡所得が控訴会社に帰属するものというに妨げはない。)」を加え、

12  同判決一八枚目―記録四四丁―表六行目の「(三〇四坪)」の次にとともにこれら」を加え

13  同判決「九枚目―記録四五丁―裏二行目の「結果」の次に「の一部」を加える。

二、そうすると、控訴人の請求を棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、民事訴訟法第三八四条、第九五条、第八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 久利馨 裁判官 三和田大士 裁判官 栗山忍)

(別紙)

一 本件で問題の山林売買代金の入金について(代金は六五六万円也である。)

1 内金五六万円、昭和四一年一八日付にて前に奥村興業株式会社で中山個人の農地を埋立して貰った代金の支払いに充当した。

(甲第二一号証参照)即ち金銭の授受は無かった。

2 内金三百万円也は右同年五月三十一日(約束手形が現金化した)

3 残り金三百万円也は昭和四一年一一月三〇日より毎月金三〇万円づつ(約束手形、金三〇万円也を一〇枚貰って、)昭和四二年八月三〇日までの間一〇回に入金した。(甲第一〇号証参照)

二 山林代金六五六万円也の使途について

1 内金五六万円也は埋立代金としての支払いに充当した事は前述のとおり

2 内金四五〇万円也は訴外伊豆洋志に横領された。その内容は、山林の代替地を買求める可く、千葉市小仲台町の伊豆洋志に約束手形金として七百万円、(内訳は百万円の約手を五枚 二百万円を一枚)計六枚で金七百万円を預けておいた所訴外伊豆洋志は、土地は買って呉れず、約束手形は他人に裏書譲渡され、その手形を取戻す為め昭和四一年六月より十一月頃までの間に千葉市内の旅館に泊込んで数万円の費用を使い伊豆と共に手形の行方を追い二百万円一枚と、百万円一枚と二枚は無償で取返したが百万円四枚の内、二枚は訴外朴甲寿、大千葉建設株式会社より各金百万円の約束手形金請求の訴を起されたが、朴甲寿に対しては利息や訴訟費用として金百二十万円也を支払い、大千葉建設株式会社の分は、その使用人の前沢進に金五十八万円、詐取され、訴外、宇野英雄を通じ、六十万円で解決して貰う可く、奥村興業株式会社振出の金三〇万円也の約束手形二通を渡した。合計百十八万円を使った。

その余の百万円の約束手形二枚は朝鮮人のヤクザ者に渡っていて、中山は旅館の一室で脅されて金二百万円也を支払はされた。

3 残りの金百五十万円也は大学に三人、高等学校に一人、四人の子供の学資(生活費を含む)に支払したものである。この内訳は次のとおりである。(一人一ケ月三万五千円)

イ 長女 中山和子 立教大学文学部

入学 昭和三八年四月卒業 同四二年三月

ロ 次女 中山房子 中央大学法学部

入学 昭和四〇年四月卒業 同四五年三月

ハ 三女 中山礼子 北里大学衛生学部

入学 昭和四二年四月卒業 同四六年三月

ニ 長男 中山俊一 習志野高号学校

昭和四〇年四月より同四一年三月巣鴨予備校

昭和四一年四月 入学同四四年三月高校卒業

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